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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Read 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 242,044 characters · 477 screens
「あい、さむらいの子というものは、腹が減ってもひもじうない……それよ、今日はまた珍しい人に、二人までぶっつかって来ましたよ」
「珍しい人……誰?」
「一人は両国の女軽業の太夫元のお角さん……」
「いやな奴」
お絹は心からお角を好いていない。お角の方も御同様でしょう。
「そのうち、日光へ参詣を兼ねて、一緒に大中寺の御大をたずねる約束をして来たから、近いうちここへやって来ると思う、やって来ましたら、どうぞお手柔らかに」
「知らない」
お絹が横を向くと、福村は改めて、
「御機嫌を直して下さい、もう一人は、決してあなたの嫌いな人ではありません、あのあなたの娘分のお松どのに逢って来ましたよ」
「お松に、どこで?」
「通油町の鶴屋で」
「あの子はこっちへ来ていたのか知ら。来ていたんなら、わたしのところへ面を出しそうなもの。薄情な娘。何をしていました」
「お屋敷奉公なんだろうが、そのお屋敷というのが……」
そこで福村が邂逅の顛末と、五七の桐の疑点とを物語ると、聞いていたお絹の面に、安からぬ色が浮びます。
二人がお取膳で御飯を食べてしまってから、福村は、
「御大もこっちへ、出て来たいには来たいだろうがな」