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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Read 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 242,044 characters · 477 screens
下諏訪を立つとまもなく塩尻峠。一足先に出た竜之助の一行と、やや後れて仏頂寺ら四人のものとは、この道中において、やはり後になり先になりましたが、徒立ちとはいえ一方は屈強のつわもの、一方は病人と女づれのことですから、徒の四人が先になるのはぜひもないことです。
これより先、彼等四人のものには、竜之助の一行が問題となって、
「あれは昨晩、われわれとおなじ旅籠を取ったものだが、なにものだろう、夫婦でなし、兄妹でもなし……」
「左様、夫婦にしては年が違う、兄妹にしては他人行儀なところがある、付人も仲間小者ではない、どこの藩中という見当も、ちょっとつきかねる、そうかといって、ただの浪人にしては悠暢な旅だ」
横目でジロリジロリと竜之助の一行を眺めましたが、竜之助の笠はかなり深いのに、垂のない駕籠で、お雪の姿はありありと見えましたから、離れると、
「ちょっと可愛らしい娘だ」
「人好きのする娘だ」
といってカラカラと笑い、
「昨晩はかわいそうに」
「そうそう、丸くなって逃げ出したが、あれっきり姿を見せなかった」
これは酔いつぶされて逃げ出した女のこと。
やがて、峠の上、立場の茶屋へ来るとそこで一休み。