Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Read 天守物語 (てんしゅものがたり) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 20,593 characters · 42 screens
階子の上より、真先に、切禿の女童、うつくしき手鞠を両袖に捧げて出づ。
亀姫、振袖、裲襠、文金の高髷、扇子を手にす。また女童、うしろに守刀を捧ぐ。あと圧えに舌長姥、古びて黄ばめる練衣、褪せたる紅の袴にて従い来る。
天守夫人、侍女を従え出で、設けの座に着く。
薄 (そと亀姫を仰ぐ)お姫様。
出むかえたる侍女等、皆ひれ伏す。
亀姫 お許し。
しとやかに通り座につく。と、夫人と面を合すとともに、双方よりひたと褥の膝を寄す。
夫人 (親しげに微笑む)お亀様。
亀姫 お姉様、おなつかしい。
夫人 私もお可懐い。――
――(間。)
女郎花 夫人。(と長煙管にて煙草を捧ぐ。)
夫人 (取って吸う。そのまま吸口を姫に渡す)この頃は、めしあがるそうだね。
亀姫 ええ、どちらも。(うけて、その煙草を吸いつつ、左の手にて杯の真似をす。)
夫人 困りましたねえ。(また打笑む。)
亀姫 ほほほ、貴女を旦那様にはいたすまいし。
夫人 憎らしい口だ。よく、それで、猪苗代から、この姫路まで――道中五百里はあろうねえ、……お年寄。
舌長姥 御意にござります。……海も山もさしわたしに、風でお運び遊ばすゆえに、半日路には足りませぬが、宿々を歩いましたら、五百里……されば五百三十里、もそっともござりましょうぞ。