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てんぐがいでん きられのせんた
天狗外伝 斬られの仙太
三好 十郎
Read 天狗外伝 斬られの仙太 (てんぐがいでん きられのせんた) by 三好 十郎 (みよしじゅうろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 122,347 characters · 243 screens
仙太 (これも笑いながら段六の肩をこずく)あにょして! 鍬を握って構えたなあ、誰だっけかよ? 真壁段六公、耳は遠くなっても、腕に年は取らせねえてね!
段六 アハハハハ、何よ言うだい、阿呆め!(二人は互いに肩をこずきながら稲田に入り、笑いながら仕事にかかる)
瀧三 お父う、だとも、普門院の方が、あんだが騒々しいが、あれで全体――。
仙太 ええて。放っとけ。立っていねえで、黙って仕事だ、仕事だ。(瀧三も右奥を気にしいしい田に入る)
段六 瀧、お咲坊のことが心配かの?
瀧三 あにょ言うだい、伯父さ! こん野郎!
三人笑いながらかがみ込んで泥掻き。……間。静かである。右奥遠くで微かに人々の罵り騒ぐ声々。稲の中から立上がる瀧三。
瀧三 (右奥遠くを眺めながら)。お父う。何だか変だ。……(誰も返事をしないので)お父う、んじゃ、鎮守さんへ行くのか?
仙太 (声だけ)うむ、そうしべえ。
瀧三 普門院へも皆で行ぐのか?
仙太の声 あれは、俺一人でもよかろうて。(水の音)
段六の声 瀧、あにょ突立っているや?
言われて瀧三もしゃがみ込む。三人の泥掻きの水音。静かだ。――永い間。
段六が手を動かしながら、ヒョイと唄い出す田植唄。