Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Read 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 104,139 characters · 208 screens
というのは、堤軍次という浪人者、三十二、三の妙に人摺れのした薄肉の細面に、相手をいら立たせずに措かないと言った、皮肉な微笑を浮べて、左馬之助を仰ぐのでした。
旗本の次男に生れて、身分も相当、腕も智恵も人の三倍も出来た男ですが、賢こさに身を破って、親許は久離切られ、日頃の如才無さが作った道場の友達を漁っては、斯う悪智恵の切り売りをして、食わして貰って歩く厄介者だったのです。
「馬、馬鹿な事を言えッ」
「ハッ、ハッ、ハッ、怒ったか南条、怒るうちは頼母しい、が、考えて見るが宜い。戦場で一番槍一番首を争って、主君の御馬前に討死をするのは素より男子の本懐だ、そうでなくとも、せめて腹でも切らされるとか、手討になるとかなら我慢も出来るが、女を奪られた上に、照れ隠しに加増までされては叶わないな」
「…………」
「それで貴公が焦れ死でもした日には、天下の物笑いだ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、怒るな南条、俺は可笑しくてたまらない。ハッ、ハッ、ハッ」
「えッ、言わして置けばッ、だ、黙れ堤ッ」
あまりの事に南条左馬之助、一刀を左に引き寄せて、居合腰に片膝を押っ立てました。
「俺を斬る気か、面白い、斬られよう。