Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Read 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,161 characters · 26 screens
鉄のワクにはめたレコードをターン・テーブルの上に置き、気の減るほどハンドルを廻して、さて、普通はレコードの縁に近く下す針を、私は中の標紙のところ、巻込みの太い線の外に下しました。
昔――四五十年前のフランスのパテー・レコードには、針が中から外へ廻る蓄音機がありましたが、それは今日の蓄音機と同じ時計巻で、私の設計した蓄音機は、それとも反対に全く逆に廻るのです。
レコードの廻るにつれて、ポータブルの蓄音機から、朗々と吹込んだ声が響き渡りました。
――私は国府金弥だ。最早余命も長いことはあるまい、私はある人に間もなく殺されるだろう、が、命のあるうちに、妻の鈴子や親切だった友人達、わけても私の顧問弁護士の佐瀬渉氏に、これだけの事を言い遺して置き度い――
これはまさに国府金弥老人の声です。言葉の意味も舶来の阿呆陀羅経どころではなく、あまりにもよくわかります。
レコードの言葉は続きました。
――私を殺そうとしているのは、思いもよらぬ人間だ。その人間は私の小切手を偽造して、この三年間に数十万円の横領を働いているが、私は相手の将来の事を考え、悔悛の余地を与えるために、敢てそれを摘発しなかった。