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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Read 妖虫 (ようちゅう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 120,290 characters · 239 screens
エ、そうは思いませんかい」
珠子は死もの狂いに目をつむっているつもりでも、恐ろしければ恐ろしい丈け、怖いもの見たさの薄目がひとりでに開いて来る。すると目の前の丸い光の中に、草のように青い顔が今にもニッコリ笑いそうに、宙に浮いて見えるのだ。
ヒョイと目と目がぶッつかる。生きた珠子の目と、死んだ首ばかりの娘の目とが、何か話し合ってでもいるように、お互にいつまでも視線をそらさないで、睨み合っている。珠子は目をそらそうにもそらせない程の、烈しい恐怖に捉われてしまったのだ。
それにしても、どうしてこの轢死体はそのままになっているのだろう。夜更けの出来事であった為に、誰も警察へ知らせる者がなかったのだろうか。この悪人達が最初の発見者であって、珠子を怖がらせる為に、態と元のままにして置いたのかしら。
何故だろう。何故こんなものを無理に見せようとするのだろう。ただ怖がらせる為か。それならいいけれど、若しかしたら、アア若しかしたら、この奥底の知れない悪党どもは、珠子も今にこの通りの目に遭わせてやるぞと、その予告をしているのではないだろうか。
「お嬢さん、轢死人というものはね、汽車が通り過ぎてしまったあとで、離ればなれになった胴体や手足にね、ちょっとの間生気が残っているものと見えて、この線路の上を、その胴体や手足が、まるで操