Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
さびしきうお
寂しき魚
室生 犀星
Read 寂しき魚 (さびしきうお) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,800 characters · 10 screens
白い道路と道路、都会の美しい肌、それらが星と星とを織り込んで眺められてくるのでした。
「あそこには何も彼もある。おれが永い間考えとおしたふしぎな国がある。そこには一切が光でみたされているのだ。この沼のような暗みや水垢や塵芥があそこには一つもない。」
魚はこう考えると、すこしずつ、からだを動かしながらいました。星の位置がかわるごとに、かれもその静かな位置を変えてゆくのでした。ちょうどそれは物差で計ったように、しぜんに、かれは天上のうごきをからだに受けながら、その意志を継いでゆくもののようでした。
「おれがいつも自分でも知ることのできないうちに、向岸の暗みへまで吹かれるように動いてゆく。ふしぎに自分でそのちからを知ることができないのだ。そして向岸の暗みへゆきつくと、間もなく、あおじろい夜明けがやってくるらしいのだ。あそこは水も冷たい。別な新しい水が湧いている。」
魚はこうつぶやいているうちに、ふしぎに北へ北へとかれのからだが流されてゆく。星もみな北へ動いているように、だんだん光を失ってゆくのでありました。
魚は、ときには烈しい日光をせなかにうけながら、沼の岸の方にからだをすりよせ、そしてはぼろぼろと落ちる土くれをまで、なつかしそうに食べつくすのである。