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かんえいあいあいがさ

寛永相合傘

林 不忘

Read 寛永相合傘 (かんえいあいあいがさ) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,530 characters · 15 screens

Aozora Bunko

「――――」

「青、――。」

「青物町!」

「八百屋町!」

「そうそう、八百屋町、八百屋町。ずいぶん変ったろうな、あのへんも。」

「久しく行かんからな。」

「久しく行かんからな。」

「お! 甲子神社と言えば、貴公、おぼえているか。」

「何を。」

「あそこのそら、そら、あの娘――。」

「娘?」

「うん。顔の丸い、眼の細い、よく泣きおった――。」

「お留か。」

「おう! それそれ、お留坊、神官の娘でな。」

「大きゅうなったろうなあ。」

「嫁に行って子まであるそうじゃ。」

「え! もうそんな年齢か。」

「そりゃそうだろう、あのころ稚児髷だったからなあ――はっはっは。」

「何じゃ、不意に笑い出して。」

「はっはっはっは、いや、思い出したぞ。いつかそらあそこの庭に柿の木があって――。」

「うんうん、あった、あった! 大きな実が成ったな。よく貴公と盗りに行ったではないか。」

「いつか貴公が、ははははは、木から落ちて、ははははは。」

「そうそう、ははは、泣いたな、あの時は。」

「泣いた泣いた。それで俺が、武士の子は痛くとも泣くものではないと言うたら、貴公、何と答えたか、これは記憶えていまいな。」

「なんと答えた?」