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しょうねん
少年
Read 少年 (しょうねん) by Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,225 characters · 31 screens
これは駄菓子屋に売っている行軍将棋の画札である。川島は彼等に一枚ずつその画札を渡しながら、四人の部下を任命(?)した。ここにその任命を公表すれば、桶屋の子の平松は陸軍少将、巡査の子の田宮は陸軍大尉、小間物屋の子の小栗はただの工兵、堀川保吉は地雷火である。地雷火は悪い役ではない。ただ工兵にさえ出合わなければ、大将をも俘に出来る役である。保吉は勿論得意だった。が、円まろと肥った小栗は任命の終るか終らないのに、工兵になる不平を訴え出した。
「工兵じゃつまらないなあ。よう、川島さん。あたいも地雷火にしておくれよ、よう。」
「お前はいつだって俘になるじゃないか?」
川島は真顔にたしなめた。けれども小栗はまっ赤になりながら、少しも怯まずに云い返した。
「嘘をついていらあ。この前に大将を俘にしたのだってあたいじゃないか?」
「そうか? じゃこの次には大尉にしてやる。」
川島はにやりと笑ったと思うと、たちまち小栗を懐柔した。保吉は未にこの少年の悪智慧の鋭さに驚いている。川島は小学校も終らないうちに、熱病のために死んでしまった。が、万一死なずにいた上、幸いにも教育を受けなかったとすれば、少くとも今は年少気鋭の市会議員か何かになっていたはずである。