Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Read 山彦乙女 (やまびこおとめ) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 126,360 characters · 251 screens

Aozora Bunko

」

「――たしかに」権之丞は唾をのんだ、「御領内から、弓矢、猟銃を、お取上げになっていることは、事実でございます、また、たてがみを切るな、という御法令に反したかどで、そんなことのない馬までが、お城へもってゆかれる例も、少なくはないと聞きます、しかし、それがそのような企みのためだ、などとは、私にはとうてい信じられません」

「算法家は六七十年もさきの、日蝕を数えだすことができるそうです、けれどもそういう算術を知らぬ者は、その日その刻が来るまでは、決して信じはしないでしょう」

「それで比女さまは、そのような無謀な企てにお加わりなさる、おつもりでございますか」

「加わるのではない、登世が采配を振るのです、御再興の兵を挙げるとき、主将はみどう家に定っています」

「そして、もはや、それはぬきさしならぬところまで、……」

「あと五日、七夕会のときに」

登世はものに憑かれたような眼で、じっと空間を見あげた。

「七夕会のときに、どうあそばすのですか」

「この系図を持って、柳沢家の下屋敷へゆきます、そして、甲斐の古伝の猿楽をごらんにいれ、それをしおに吉保さまとじかにお会いして」

「比女さま……」