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おおおとこのはなし
巨男の話
Read 巨男の話 (おおおとこのはなし) by Niimi Nankichi (新美 南吉) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,832 characters · 8 screens
都の人びとは、ねる前に、きっと窓をあけて巨男の働いている塔の上をみました。そこには、星と同じような灯の光が、またたいていたんです。
三月もたつと、巨男がとってきた大理石はつきてしまいました。塔の高さは宮殿のどの建物よりも高くなりました。それでも、王様は、それでよいとはおっしゃいませんでした。そこで、巨男はふたたび南方へ旅立ちました。長い鎖をひきずって、白鳥をつれ、巨男は広い広い沙漠をくる日もくる日も歩いていきました。巨男は、また大きな大理石を三つもらって都に帰りました。すぐその日からつちとのみをとってそれを切りはじめました。
塔はますます高くなりましたよ。
空がくもって星がみられない夜でも、巨男の灯はたった一つの星のようにポツンとうかび出ていました。
それは、すこし風のつよい宵でした。都の人びとは、窓から塔の上の灯をあおいでみました。灯は風のために、ゆらゆらゆれていました。人びとはそのとき、はじめて巨男がかわいそうになりました。王様も窓から顔をお出しになって、塔の上をみました。ごーごーとなる風のすきまに、巨男のつちの音がかすかに聞こえてきました。