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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Read 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) by 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 81,548 characters · 161 screens
又鵜呑で大抵間に合う。間に合わんのは作文に数学位のものだが、作文は小学時代から得意の科目で、是は心配はない。心配なのは数学の奴だが、それをも無理に狼狽てた鵜呑式で押徹そうとする、又不思議と或程度迄は押徹される。尤も是はかね合もので、そのかね合を外すと、落こちる。私も未だ試験慣れのせぬ中、ふと其かね合を外して落こちた時には、親の手前、学友の手前、流石に面目なかったから、少し学校にも厭気が差して、其時だけは一寸学校教育なんぞを齷促して受けるのが、何となく馬鹿気た事のように思われた。が、世間を見渡すと、皆此無意味な馬鹿気た事を平気で懸命に行っている。一人として躊躇している者はない。其中で私一人其様な事を思うのは何だか薄気味悪かったから、狼狽てて、いや、馬鹿気ているようでも、矢張必要の事なんだろうと思直して、素知らん顔して、其からは落第の恥辱を雪がねば措かぬと発奮し、切歯して、扼腕して、果し眼になって、又鵜の真似を継続して行った。
鵜の真似でも何でも、試験の成績さえ良ければ、先生方も満足せられる、内でも親達が満足するから、私は其で好い事と思っていた。然うして多く学んで殆ど何も得る所がない中に、いつしか中学も卒業して、卒業式には知事さんも「諸君は今回卒業の名誉を荷うて……」