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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Read 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) by 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 81,548 characters · 161 screens

Aozora Bunko

ああ、家は彼下だ……と思う時、始めて故郷を離れることの心細さが身に染みて、悄然としたが、悄然とする側から、妙に又気が勇む。何だか籠のような狭隘しい処から、茫々と広い明るい空のような処へ放されて飛んで行くようで、何となく心臓の締るような気もするが、又何処か暢びりと、急に脊丈が延びたような気もする。

こうした妙な心持になって、心当に我家の方角を見ていると、忽ち礑と物に眼界を鎖された。見ると、汽車は截割ったように急な土手下を行くのだ。

二十五

申後れたが、私は法学研究のため上京するのだ。

其頃の青年に、政治ではない、政論に趣味を持たん者は幾んど無かった。私も中学に居る頃から其が面白くて、政党では自由党が大の贔負であったから、自由党の名士が遊説に来れば、必ず其演説を聴きに行ったものだ。無論板垣さんは自分の叔父さんか何ぞのように思っていた。

実際の政界の事情は些とも分っていなかった。自由党は如何いう政党だか、改進党と如何違うのだか、其様な事は分っているような風をして、実は些とも分っていなかったが、唯初心な眼で局外から観ると、何だか自由党の人というと、其人の妻子は屹度饑に泣いてるように思われて、妻子が饑に泣く――人情忍び難い所だ。