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ねんじゅうぎょうじおぼえがき
年中行事覚書
柳田 国男
Read 年中行事覚書 (ねんじゅうぎょうじおぼえがき) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 135,005 characters · 262 screens
伏せ馬(二月初午)
十二月の九日を大黒様の嫁迎えと称して、二股大根などを供えて祭をすることと、根原に何か関係のあることではないかと思う。
二月九日は東北ではヤサラと称して、八つの皿に濁酒などを注いで神を祭る日であり、あるいはまたこの日を女の悪日という処もある。いわゆるおかたが問題になる日は、正月十五日の尻はり尻つみ以外にも、五月四日の女の夜などがある。京都民俗志には棚おろしといって、暮の大晦日の夜一年中の小言を、ためておいて言う風習があったことを記している。同じ下閉伊地方でも、正月十六日の早朝、嫁が寝ているうちに蒲団を剥いで、丸裸にして尻を打ったという。それも単なる話らしいが、この日をイロハギというのは意味がありそうである。イロは婚礼と葬式の日に、女が着て出る晴着のことで、蒲団や寝間着のような尋常のものでない。
伏せ馬(二月初午)
二月初午が早く来る年は警戒する。火事が多いとか虫が付くとかいうらしいが、それは一定していない。伏せ馬というのは指を折って日を算えて、指のまだ伏せてあるうち、すなわち五日までに午の日がある年のことである。これは十一月の寝犬起き犬なども同じように、単に記憶を助ける諺のような言葉であるが、特に午の日に重きをおく理由は、馬の神の信仰にあったかと思う。