Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Read 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) by 久坂 葉子 (くさかようこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 59,103 characters · 121 screens
駄目。書いてしまわなきゃ。つづけます。小母さん。私の兄は、もう二ヶ月位、とても不機嫌なのです。夜おそく帰って来て、物も云わずに寝てしまう。そんな生活がつづいておりました。兄は御存知のように、ルンゲをやられ、長い病院生活をしていた人ですから、母は非常に体のことを心配してました。兄の態度には、家中いらいらしてしまうのでした。何も云わずに怒り顔をしているのですから。その原因が何であるか、父も母もしきりに探索しようとしておりました。一つは、会社でのことで、父が関係していたところであり、家の番頭の息子などが先輩顔で上の席にいることなどが、気の弱い兄をまいらせたのです。皆がよってたかって、笑い者にするらしく、内向的な、そして正直で御人好しの兄は、たちまちインフェリオリティー・コンプレックスにかかったわけ。卑屈な人なら平気でしょうし、傲慢なんなら、父を盾にして、偉ばることも出来るのでしょうが、兄は皆から、いじめられるのに、もってこいの性格の持主であり、又もって来いの立場にあったのです。父は、会社であまりよく云われないらしく、パージがとけて復帰したことも、多くの人から反感をかわれていました。