Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
やくしゃのいっしょう
役者の一生
折口 信夫
Read 役者の一生 (やくしゃのいっしょう) by 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,324 characters · 31 screens
それがまあ「女武道」になるのである。私は源之助は一番「女武道」にかなった役者であると思う。例えば「ひらがな盛衰記」のお筆のような役は割にしどころの少い役で、十分発揮出来ない憾みはあったにしても、源之助にうってつけのものだと思う。
「女武道」は正義で、又時としては武芸に達し、容貌もいい中年の女という立女形の役である。女形が勢力を持って来て、芝居の中心になって、主役をしなければならなくなった場合、「女武道」の必要が起って来るのである。又昔の芝居は仮りに午前に時代物をかけたとしたら、午後は世話物をするという風だから、時代物が武道なら、世話物の方でも武道を出したいという要望が起って来る。こうして世話物の「女武道」としての「毒婦・悪婆」というものが出来て来る。
芝居の正義というのは道徳的な本道の正義でなくともよいので、何にしても鬱積した気持ちを打ち払う様な華々しいものが、正義になるのである。今までおとなしい一方のものにきめられていた女というものが、乱暴してみせるということでもよい。又立廻りはしなくても、殺人だとか、男を自在にあやつるとかいうことでもよい。とにかく自分たちの胸が透けばそれでよいので、そういう正義が武道の範囲に入るのである。