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のちのなりひらぶんじ

後の業平文治

三遊亭 円朝

Read 後の業平文治 (のちのなりひらぶんじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,545 characters · 216 screens

Aozora Bunko

ものと見えて、ぽき/\と折れまする。文治は窃(そ)ッとこれを抜取りまして、

文「チエ…有難や、これこそ確かに人の造りし征矢、案に違(たが)わず此の島は折々四辺(あたり)の島人(しまびと)の訪い来る島に相違ない、たとい其の島人が鬼であろうが蛇(じゃ)であろうが、事を分けて話したら、よもや頼みにならぬ事もあるまじ、やれ嬉しや、やッ……それ/\、今達者でおれと口真似をしたのは其の島人にはあらざるか、但(たゞ)し心の迷いかは知らぬが、かゝる矢種(やだね)のあるからには、何時(いつ)しか人の来るに相違ない、あゝ有難い/\」

また木蔭に声ありて、

「あゝ有難い/\」

文「いや、今のは確かに……」

と四辺(あたり)を見ますと、一羽の鸚鵡(おうむ)がつくねんと樹の叉(また)に蹲(うずく)まって居りまする。文治は心中に、「さては鸚鵡でありしか」と我ながら可笑(おか)しさに耐えず、

文「達者で居れ」

鸚「達者で居れ」

文「馬鹿野郎」

鸚「馬鹿野郎」

なか/\よく人の真似を致します。

文「やッ、これは面白い」

と其の鳥を押えますと、平生人の居りませぬ島でありますから、少しも人を恐がる