Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Read 我が家の楽園 (わがやのらくえん) by 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 90,195 characters · 175 screens
「さようです」
「御所造りの羽目に、五色のペンキを塗ったくったのも? 地境の松の頭をチョン切ったのも?」
「弱ったね……念をおされると、汗が出ますよ」
「汗が出たら拭いておけ。いったい君は、どういう権威をもって、こんな勝手な真似をした?」
太田夫人が割って入った。
「そんな大きな声を出さんといて……こいつも、悪いことをした思うのか、自火を出されたことを聞いて、焼けた分の新築を、無料で奉仕したいというとるんです……今日、伺ったのは、そのことも含めて」
「新築などしないから、奉仕はいらない。あれが焼けてくれたんで、清々しているんだ」
「でも、あそこにケチンがなくっちゃ、住めません」
「広廊へ七輪を持ちだしてやっているから、ご心配はいらない」
「石田さん、こいつは、無料でやる、いうとるんですよ。来年の春ぐらいまでには、収用住宅がみな片付くから、外人向きの貸間ブローカーが、いまから血眼で部屋を探しとる……こいつのサービスで、あそこにケチンをこしらえとけば、階下と二階を、月五万円ずつで貸せますよ。あんたの家族が、御所造りのほうに住む気があるなら、家具を入れて、設営しなおして、収用ハウスに馴れたメードを、一人お世話する……そこまでの奉仕をする気でいるんです。