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わがばけんてつがく
我が馬券哲学
菊池 寛
Read 我が馬券哲学 (わがばけんてつがく) by 菊池 寛 (きくちかん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,169 characters · 5 screens
レコードに囚わるること勿れ、融通無碍しかも確固たる信念を失うこと勿れ。馬券の奥堂に参ずるは、なお剣、棋の秘奥を修めんとするが如く至難である。
一、一日に、一鞍か二鞍堅い所を取り、他は悉く休む人あり、小乗なれども亦一つの悟道たるを失わず。大損をせざる唯一の方法である。
一、損を怖れ、本命々々と買う人あり、しかし損がそれ程恐しいなら、馬券などやらざるに如かず。
一、一日に四、五十円の損になりても、よき鑑定をなし、百四、五十円の中穴を一つ当てたる快味あれば、償うべし。
一、百二、三十円の穴にても、手柄の上では二百円に当るものあり、二百円の配当にても、手柄の上ではくだらぬものあり、新馬の二百円をまぐれ当りに取りたるなど、ただ金を拾ったのと、あまり違わない。
一、よき鑑定の結果たる配当は、額の多少に拘わらず、その得意は大なり。まぐれ当りの配当は、たとい二百円なりとも、投機的にして、正道なる馬券ファンの手柄にすべきものにあらず。
一、人にきいて取りたる二百円は、自分の鑑定に取りたる五十円にも劣るべし(と云うように考えて貰いたいものである。)
一、サラブレッドとは、如何なるものかも知らずに馬券をやる人あり、悲しむべし。