Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

せんそうざっき

戦争雑記

徳永 直

Read 戦争雑記 (せんそうざっき) by 徳永 直 (とくながすなお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,149 characters · 25 screens

Aozora Bunko

五

五

私の家には、その片腕の熊さんや、赤褌の豊さんやら、たわし売りのお吉さんやら、灰買いの重どんなどがいた。

私の生涯に於て忘れられない人々であった。私が成長して物事がよりはっきりと、判断することが出来るようになればなるほど、これらの人達を尚更ら憶い起さずにいられない。

片腕の熊さんは、片腕で跛であった。何時も夜になると私の家の土間に、空俵を敷いてそこで「八」という私の犬と一緒に寝ていた。蒲団も何もない、赤い半切れの毛布を持っていて、それを頭にすっぽり乗っけると、「八」を抱いて寝るのが習慣しであった。

そしてお昼になると、何処かの家を歩いて、小用を足したり、病人の買物などを手伝ったりして、「残飯」を買うお金を拵らえて来るのである。駄賃が少し余計に入ったりなんかすると、すぐ酒をひっかけて来る。そんなときは何時もの無口屋が、とてものお喋べりになって了う。

大きな男の、頬骨の出っ張った、笑うときには、必ず額と口許に並み外れて大きな沢山の皺が出来る男だった。

熊さんが、よく薬瓶なんかを左手にさげて、お使いにゆく姿をみつけると、子供が寄って来て後ろから、

「ちんばの熊さん、