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たんていしょうせつまんそう
探偵小説漫想
夢野 久作
Read 探偵小説漫想 (たんていしょうせつまんそう) by 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 1,435 characters · 3 screens
この点が本格物の一番骨の折れどころではあるまいか。
◇
奥歯に物の挟まったような書方をしたのはドウも面白くない。ところが本格物を書くとドウしてもソンナ筆致を用いなければ向うへ行けないのだからウンザリする。
◇
抒景に行数を取られるのも有難くない。推理と抒景と並行する時、スルリと抒景と一致する時、本格物の痛快味が、忽然スパークを放射して、たまらなく爽快なオゾン臭を放つ。
このオゾン臭の近代的感覚が探偵小説の独特の生命であると思って、私は心から歓喜しつつ吸入する。
紙芝居式の謎々小説よ。呪われて在れ。
◇
性格描写無用を叫ぶ者がある。
性格をトリックに使う作者がある。
どちらも両立し得ると私は思う。しかもドチラも作家的無良心に陥り易いようである。
◇
探偵小説の神秘は究極するところ、神秘であってはいけないと思う。2÷2=1であり2×2=4でなければ結局感心出来ない事になるようである。
1=X/X=1×1=0/0=8÷8なんていうのを使うのは大抵素人に限るようである。
√(-1)を使う時、本格探偵小説の価値は0となるか、又は性質を変じてノンセンス、ユーマー、怪奇小説の類に堕するようである。