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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
が、その上に自分の手を置くことができなかった。
そういうときは決まって、おあいが勝手から出て来た。そしてすぐ、堀を庭から家へ入れようとした。そして内儀も帰すようにした。
「何か御用で……。」おあいは、堀と内儀との間に、立ちはだかってこう言うと、内儀は、ちょいと赧くなってもじもじした。
「いいえ、何も。」
「それならずっとおかえり下さいまし。夫は気鬱病ですし、あまり永く庭へ出ているとよくないものでございますから。」
おあいは、そう厳しくいうと、内儀は、詮方なさそうにすうと垣根をはなれた。堀は、おあいの姿をみてから小さくなっていたが、それでも、内儀のあとを見送っていた。
「厭な女もあればあるものだ。毎朝のようにやってくる。いったい何の用事があるのだろう。」
おあいは、独り言をして、堀を家のなかへ入れようとした。が、堀は、頑固に跼んでじっとしていた。
「おれはまだ此処にいるのだ。」
おあいは、日光が蒸しついてくるので、頭によくないと言って、
「居間で一と眠りなさい。だいぶ疲れていらっしゃるようだから。」
と、肩に手をかけようとすると、いきなり手を払いのけた。
「此処に用事があるのだ。