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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
四
むすこのからだは温かくほかほかしていた。
四
穏やかな秋日和がつづいている、――お俊はきょうも不図きよ子が石段のそばに癖づいて遊んでいるのを見た。片側町で人通りもなかった。お俊はしぜんにきよ子の方へ近づいて行った。
「何しているの。」
お俊はきよ子がぼんやりと坐っている日あたりのいい石段の、眩しいくらい白い石を眼に入れた。
「いいえ、何もしてないんです。」
きよ子はあたり前の顔つきで答えた。
「でも一人でそうしているのはおかしいじゃないか。」
「ええ、だからわたし今帰ろうと考えていたんです、ここも段々寒くなって来たんですもの、それにおさかなが沢山いたのがみんな深い方へ行ってしまって岸にはいないの。」
「冬近くなるからだよ、そうね、風あたりがずいぶん荒くなってきたようね。お前、こんなに手が冷たくなっているじゃないかね。」
「ええ、さむいから、――」
きよ子は母親に連れ立った。お俊はべつに何も問いもしなかった。すこしの暇さえあれば石段のそばへ行っているきよ子の心が、お俊にははっきり見え透いているだけ、なお、尋ねてはならぬものを感じた。きよ子はふと此麼ことを言った。