Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 197,228 characters · 394 screens

Aozora Bunko

と、謀叛の旨をほのめかした。

妻は驚き、かつ嘆いて、

(冗談もほどにして下さい。わたくしは、現在の贅沢ぐらしさえ、幸福だとは思っていません。今でもなつかしく思うのは、あなたがまだ中間勤めをしていた頃の貧しい暮しです。あの時分のあなたは、妻にも真実があり、人様にも真実につきあい、夫婦ともに行く末をたのしんで、明け暮れよく働きました。……それがお上のお目にとまって、今日、御譜代衆でさえ、真似のできないほどな御出世をなさりながら、何が不満で、そんな企みをなさいますか)

と、問いつめ、泣いて意見したが、大賀はせせら笑って、耳にも入れなかったらしい。

彼女がそのとき良人に予言した天罰の日は、覿面に今日、弥四郎を迎えに来た。

それは一頭の赤い馬であった。牢役人は、彼をひき出すと、馬の三頭――尻の方に面を向けさせて、荷駄鞍にしばりつけ、刑場へ連れ出した。

すると外の辻に、もう民衆が騒いで待っていた。

ひとりは幟を持っている。

幟には――叛逆の張本人大賀弥四郎重秀と書いてあった。また同じ文字のある小旗を弥四郎の襟くびにも挿した。

幟と馬が先に歩き出すと、その後から大勢の者が、螺をふいたり、鉦を叩いたり、笛太鼓も入れて、囃し立てて行くのだった。