Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,758 characters · 383 screens
将来の大計にも、やはり大きな違いがないわけには参るまい。毛利といえ、上杉といえ、なお安からぬものが多いところじゃ。三歳の若君でどうなろう。先君の御遺業も半途に止め、このまま縮もうという織田家ならべつじゃがの。――いや、守ろうとすれば四辺は、時こそ得たれと侵して来る。所詮ふたたび乱世じゃ。室町家の末路の轍を踏もうも知れぬ。いや、勝家には危ぶまれる。どうあろう? 諸侯」
座中を見まわして彼の眼は支持者をさがした。が、どこからも明瞭な反応がないのみか、偶然彼の眼とかちあった眸が、突として、
「御大老」
と呼びかけ、却って、横から斬りかけるような反勢を示してきた。
「おう、五郎左殿か、何じゃあ?」
勝家も反射的に、頼みをかけぬ返辞を投げた。五郎左――丹羽長秀は初めて発言した。
「だんだん御深慮は伺ったが、ここはまず羽柴殿の説を容れられては如何なものかの。羽柴殿の云い条、五郎左も至極と存ずるが……」
宿老格では、丹羽長秀もまた、宿老の一人である。
その五郎左が、緘黙を破って、秀吉方へ、自己の旗いろを明らかにしたので、この時、勝家の面色ばかりでなく、座中は俄に色めくものがあった。