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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,758 characters · 383 screens

Aozora Bunko

の、ふた筆であった。

一は織田家の発祥地として、一は岐阜在城の地として、共に、適切な処置とされたが、これも秀吉の意で、勝家の初案を直して、こうさせたものだった。

滝川一益の五万石加増、新付北伊の一部、蜂屋頼隆の三万石加増等には、何らの筆を加えなかったが、

池田勝入父子、大坂、尼ヶ崎、兵庫十二万石

丹羽長秀、若州、並びに江州二郡

の二項には、原案よりも、加封を多くした。

その代りに、秀吉は、自分への割当を削って、丹波一国を獲るにとどめ、また、勝家の取分も減らして、

――江州の内、長浜六万石

だけを彼に付与した。

長浜は現に、秀吉の城地となっている所である。

しかしそこは越前から京都へ通ずる咽喉の要地であった。

勝家はそれへ目をつけたにちがいない。強引にもこれを需めた。そのほか三、四郡の地をも望みに加えていたが、ほかは秀吉が抹消してしまった。そして長浜六万石だけは、きれいに彼へ渡してやったのである。

もっとも、それにも条件が付いていた。勝家の養子、柴田勝豊へ持たすという確約の下にされたのであった。

前晩、柴田家の家中は、勝家を囲んで、こういう屈辱的な分け前にたいし、大不服をとなえ、秀吉のやり口を、