Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 176,911 characters · 353 screens

Aozora Bunko

田舎暮しはたえられない。尼院の日々はかなし過ぎる。都へ出たい。新しい知識にふれ、文化に浴し、希望ある生活の中へ立ち交じりたい。

――こう訴えてやまないのだ。

友松は、よい程にあしらい、また、幾度となく、その非を諭した。

(それはとんでもない野望だ。われわれ武門の端くれだった者さえ、弱肉強食の巷には剋てず、落魄、愍然たる境界に追いやられ、いまは争闘の世に、まったく思い断っているのに。――若い女性の身そらで、あんな乱世の中心、有為転変のるつぼへ、何で好んで飛びこんで行こうとなさるか。友松には気が知れん。わしは反対だ。それよりは、草ふかくとも、平和な田舎に住み、月明りに源氏を読み、秋日に画筆をとり、雪の夜に、歌など作っていられたら、至楽、これに越すものはあるまい。そしてよく働く男を夫にもち、すこやかな子をもうけ、母の愛の中に、女性の安住と満足を求めようとするなら、おそらくかなわぬことはなく、失望、傷魂のいたみをうけることもあるまい)

友松のいうことはいつもこれに尽きていた。ふつうの若い女性へなら、多少、聞かれるふしもあるかもしれないが、於通にたいしては、寸効もなかった。