Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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かえるのゴムぐつ

新編風の又三郎

宮沢 賢治

Read 新編風の又三郎 (かえるのゴムぐつ) by Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 41,031 characters · 84 screens

Aozora Bunko

十月の末

嘉ッコは、小さなわらじをはいて、赤いげんこを二つ顔の前にそろえて、ふっふっと息をふきかけながら、土間から外へ飛び出しました。外はつめたくて明るくて、そしてしんとしています。

嘉ッコのお母さんは、大きなけらを着て、縄を肩にかけて、そのあとから出て来ました。

「母、昨夜、土ぁ、凍みだじゃぃ。」嘉ッコはしめった黒い地面を、ばたばた踏みながら云いました。

「うん、霜ぁ降ったのさ。今日は畑ぁ、土ぁぐじゃぐじゃづがべもや。」と嘉ッコのお母さんは、半分ひとりごとのように答えました。

嘉ッコのおばあさんが、やっぱりけらを着て、すっかり支度をして、家の中から出て来ました。

そして一寸手をかざして、明るい空を見まわしながらつぶやきました。

「爺※ごぁ、今朝も戻て来なぃがべが。家でぁこったに忙がしでば。」

「爺※ごぁ、今朝も戻て来なぃがべが。」嘉ッコがいきなり叫びました。

おばあさんはわらいました。

「うん。けづな爺※ごだもな。酔たぐれでばがり居で、一向仕事助けるもさないで。今日も町で飲んでらべぁな。うなは爺※ごに肖るやなぃじゃぃ。」

「ダゴダア、ダゴダア、ダゴダア。」嘉ッコはもう走って垣の出口の柳の木を見ていました。