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にほんイデオロギーろん

日本イデオロギー論

戸坂 潤

Read 日本イデオロギー論 (にほんイデオロギーろん) by 戸坂 潤 (とさかじゅん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 263,376 characters · 511 screens

Aozora Bunko

而も、時々断片的に、読者や聴衆が持ち合わせた出来合いの知恵に接触するものがあって、それが彼等を感動させ、甘やかし、なだめすかす。分解や論証や質疑の代りに、単に次から次へとタッチがありタップがある。これが解釈哲学の極めて意味のある風味の特色の一つであるが、併し之によって、現実の事物に対する実際的処置は、恍惚裏に時としては又涙の裏に、斥けられて了うのである。世界を「解釈」するということは、拱手して世界を征服するということは、確かに楽しい仕事に相違はない。たといそのために涙と共に糧を食い、眠れぬ床に臥しても、この仕事は専ら楽しい仕事だ。

「生の哲学」と呼ばれるものの多くがこの解釈哲学であることは、今更注意するまでもないだろう。解釈とは、生の哲学によると、生の自己解釈に外ならないが、生(その科学的な意義が抑々問題なのだ!)が自らを解釈するという自己感応のおかげで、意味が、事実から独立した純然たる意味の世界として、描き出される。この生の哲学が更に、特に所謂「歴史哲学」や「解釈学的現象学」と不離の関係にあることも、茲に喋々する必要はあるまい。この二つのものが、如何に解釈学の方法に準じた哲学であるか、又更にこの二つが如何に文献学(解釈学は夫の方法なのだ)的特色と臭味とさえを持っているかが、それを充分に物語っている。