Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あゆむ
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
戸田 豊子
Read 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (あゆむ) by 戸田 豊子 (とだとよこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 21,183 characters · 44 screens
床はキルクで薄べりが真新しかった。銀貨と大丼を掴んで渡が食堂へ降りてゆく。
本箱から新刊書を抜き出してぺらぺら繰りながら、そうそう、瓦斯へ湯を沸らしておく必要がある、と思った。
二人ともがつがつ食べて、お湯を啜るとき顔を見合って笑った。
「これ染めたのよ、自分で。せんには何だか汚らしくやけてたでしょう――」
はしゃぎたくて堪らない小娘のように上衣を引張り、スカートのくぼへ飲みかけたコーヒーを零した。
「今晩仕事があるの」
「いや、今晩は安息日だ、その代り明日は早いんだ」
それで自分でもホッとして、とも子の口からまじめな話や愚かな話が際限もなかった。鼠をねらう猫のような眼をしたり、ただの怠け猫のように眼を細めたりした。「ゴシップ屋が」と言われて一寸ふくれ、煙草を挟めたままの指をぬっと突出した。
「モダンボーイが」
「ほら、灰が落ちる、頭が?」ポマードで固めた頭へ一寸触ってみて、「馬鹿だな、こんなのカモフラージュってんだよ、出来るだけ周囲に同化しなくちゃ不可ないんだ」
「そうお、そんなのお洒落の合理化って言うんでしょうね」
「煙草を止しなさい、煙草を、又やり出したね」