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てんかふん

日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)

榎南 謙一

Read 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二) (てんかふん) by 榎南 謙一 (えなみけんいち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,963 characters · 8 screens

Aozora Bunko

農村から

――よう戻って来た

娘の手を握りながら

両親は娘一人ふえたこれからの生活を考える

正月だと言って

餅を鱈腹食うて寝ては居れなかった

地主の塀からきこえる

景気のいい餅搗きの音に

餓鬼どもは咽喉をグウグウいわせて駄々をこねた

お父うが鍬をかついで

裏口からコッソリ出かけようとしたとき

お母あはどう言って泣いたか

――三ヵ日にようもまあ、仕事をするだ

フウが悪うて………

米の有り余る豊年に

百姓の納屋はがらん洞だ

出来がよい、と聞けば

――いつかの不足米を、とぬかして

ゴソッと持って行く奴め

豊年じゃいうておどる間抜けがどこにある

百姓の生活は何時もかわらぬギリギリだ

豊年飢饉!

バスケットをぶらさげて

東京の工場を追ン出された娘は帰って来た

――操業短縮 強制帰国

――操業短縮 強制帰国

東京モスリン××工場に戦いの火はもえた

人殺しの馘首に抗して

二千の女工たちはストライキへ入った

だが見ろ!

大衆党幹部のポケットへ札束が入り

女工たちの要求は勝手にゆがめられた

失業地獄のどん底で

垢ほどの手当が何になる

泣き 泣き

女工たちの帰って行くのは何処なのか

豊年飢饉になやみ 疲れ

くたばりかけの農村へ!

――よう戻った 達者でよかった