Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゅんせつせん
日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集
葉山 嘉樹
Read 日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集 (しゅんせつせん) by 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 34,935 characters · 73 screens
出るとすぐ跟け廻され、浮浪罪で留置された。それが彼の生活の基調に習慣づけられた。
(どうせ、そうなる運命なら、それに相当した事をしなけりゃ損だ! 俺も打ん殴ってやれ!)
そうなるためには、留置場や、監房は立派な教材に満ちていた。間違って捕っても、彼の入る所は、云わば彼の家であった。そこには多くの知り合いがいた。白日の下には、彼を知るものは悉くが、敵であった。が、帰って行けば、「ふん、そいつはまずかった」と云って呉れる(友)がいた。
だんだん(仕事)は大きく、大胆になって行った。
汽車は滑かに、速に辷った。気持よく食堂車は揺れ、快く酔は廻った。
山があり、林があり、海は黄金色に波打っていた。到る処に(生活)があった。どの生活も彼にとっては縁のないものであった。
彼の反抗は、未だ組織づけられていなかった。彼の眼は牢獄の壁で近視になっていた。彼が、そのまま、天国のように眺める、山や海の上の生活にも、絶えざる闘争があり、絶えざる拷問があったが、彼はそれを見ることが出来なかった。
彼は彼一流の方法で、やっつけるだけであった。
夜の二時頃であった。寝苦しい夏の夜も、森と川の面から撫でるように吹いて来る、軽い風で涼しくなった。