Japanese reading practice

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Read 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) by 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,045 characters · 322 screens

Aozora Bunko

とても歩けはしないが、ぜひ詑びにゆけと皆に抱えてこられた。眼が廻るほどピンピンする。」

「一度診察させるのだ、何しろ鉄扇だから、どこか裂けるか、折れるかしてると思う。」

「ばか言え、鉄扇なんて、そんなおだやかでないものを持ってゆくものか、弁論の自由を尊重しながら、そんな野蛮な――でも、じゃないよ、見ろ、この扇だ。」

みんな変な顔をしていた。元気な父は村上さんに膏薬を貼らせながら一人の手を見ていった。

「や、その爪か! 汚ねえのだなあ。」

対手の人も、鷹の爪のようにのびて、しかも真黒な爪垢がたまっている自分の五つの爪を眺めた。他の者たちも呆れた。だが、当然驚かなければならない医者が平然としていた。

父はお玉ヶ池の千葉について剣を学び、初期の自由党に参加した血の気が、まだおさまらなかったのであろう。友達たちも自然荒武者だった。その中に、親友であって法律の先生である村田電造という人があった。神田猿楽町に住んでいた。黄八丈の着物に白ちりめんの帯をしめて、女の穿く吾妻下駄に似た畳附きの下駄へ、白なめしの太い鼻緒のすがったのを穿いていた。四角い顔の才槌頭だった。静かにお茶を飲んだり、御酒をのんだりしてはなしていた。