Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Read 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) by 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,045 characters · 322 screens

Aozora Bunko

屋台店の立食は、湯がえりの職人か、お店の人の内密食、そのほかは、夜長の、夜業をしまったあとで時折買うものだと、大問屋町の家庭では下女たちまで、そんなふうに堅気にしこまれていたので、大所の旦那さんの天ぷらの立食は、なんとまあ呆れたものだというわけだったのだ。示しがつかないでございましょうとお爨どんでさえいうのだ。

立食旦那の家は、店蔵、中蔵、奥蔵、荷蔵と、鍵の手につらなって、何処もかも暗い大きな家だった。奥深い店の、奥の方の棚に、真鍮の火鉢の見本が並べてあるのが、陽の光がどこからさすのか、朝の間のある時、通りがかりに覗きこむと、黄色くキラキラ光っていて、黄昏に御仏壇を覗いたような店の家だった。

ああいう家は、金がうなってるんだと、よく、町の細かい人たちは噂していた。庭は、横の新道までぬけた広いのだのに、住居にしている中蔵の前に、コチョコチョと石を積上げた築山をつくり、風入れや、日光をわざと遮ってしまって、漆喰の池に金魚を入れ、夏は、硝子の管で吹きあげる噴水のおもちゃを釣るした。

湯がえりの下駄の歯がカラカラ鳴って、星が光る霜夜に、

「ま、め――煎りたてま、め――」