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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Read 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) by 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,045 characters · 322 screens
お座敷は至極奇麗ですと――
七兵衛さんに急用が出来て使いがよびにゆくとき、あたしはコッソリ連れてってもらった。門に立ってお辞儀している七兵衛さんを予想したが、おそろしく不機嫌な御亭主面をした七兵衛さんが、薄っ暗い家の中から出て来た。大きな顔が用向きをきいて笑った。黄色い粗い長い歯が目に残った。
七兵衛さんはそれだけだが、大同小異の書生連の中に(通いの三百代言上り)壮士――その実遊人上りが一人、その子が一人、旗本のおちぶれ兄弟が三人、仕立屋さんが一人。
壮士荻野六郎は達磨のように赤黒く、毛虫眉で、いがくり頭で、デップリと肥って、見てくれの強そうな、胸をふくらましてヨレヨレの袴を穿いていた。あんまり字は読めないのだが、腕組みをしてだまっているとともかく強そうだった。強い方の役目をするのかと思うと、そうでなくって、一番奥のものに摺り込んでいた。競売に立会って、せりおとしてきた細かい装身具を売り込もうとしたりして、
「嫌だなあ、そんな娘子供のものはとるな。」
と父からよく言われていた。ばかに強くなる時があって、対手は百人でも怖れない、先生を守るのだと力んでいたが、あたしの従兄の肺病の薬を自分の家へとりにゆくと、あたしを連れていったが、自分のうちの門口へくると、