Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

はやみみさんじとりものききがき

早耳三次捕物聞書

林 不忘

Read 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,930 characters · 20 screens

Aozora Bunko

「源右衛門さん、お隣りへ素晴らしいのが来ましたね。危ねえもんだ。」

などと近所の人に言われると、源右衛門はいかにも危なそうににやにやして、いい気に顎をなでたりしていた。

まず女の正体が長屋じゅうの問題になった。なにしろ二十歳そこそこの若い女が、家財道具もない家に、女の子と二人きりでぽつんと暮しているのだから、これは人の口の端に上るのは無理もあるまい。女はじつに眼鼻だちの整った、色の浅黒い江戸前のいい女だったが、女の子も、眼のくりくりした可愛い子で、長いあいだ貧乏していると見えて、どっか物欲しそうな、こましゃくれたところがあった。女はほかの者へは挨拶もしないくらいで、物好きな長屋の若い者なんかが、いろんな機会に話しかけようとしても、白い歯一つ見せたことはなかったが、源右衛門にだけは初めからうちとけて、おりにふれて自分の身の上を開かしたりした。それによると、女は、日本橋辺の老舗の娘で、商売に失敗して両親が借金を残して死んだので、たったひとりの妹をつれて隠れているとのことだった。これが源右衛門の口で近所界隈にひろまると、女を見る一同の眼が同情に変ったが、その中で一番熱心に味方になって世話をやきだしたのは、言うまでもなく差配の源右衛門だった。