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やせがまんのせつ
明治十年丁丑公論・瘠我慢の説
福沢 諭吉
Read 明治十年丁丑公論・瘠我慢の説 (やせがまんのせつ) by 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 24,663 characters · 48 screens
の種類を増し、下駄傘を作る者あり、提灯を張る者あり、或は白木の指物細工に漆を塗てその品位を増す者あり、或は戸障子等を作て本職の大工と巧拙を争う者あり、しかのみならず、近年に至ては手業の外に商売を兼ね、船を造り荷物を仕入れて大阪に渡海せしむる者あり、或は自からその船に乗る者あり。
もとより下士の輩、悉皆商工に従事するには非ざれども、その一部分に行わるれば仲間中の資本は間接に働をなして、些細の余財もいたずらに嚢底に隠るることなく、金の流通忙わしくして利潤もまた少なからず。藩中に商業行わるれば上士もこれを傍観するに非ず、往々竊に資本を卸す者ありといえども、如何せん生来の教育、算筆に疎くして理財の真情を知らざるが故に、下士に依頼して商法を行うも、空しく資本を失うか、しからざればわずかに利潤の糟粕を嘗るのみ。
下士の輩は漸く産を立てて衣食の患を免かるる者多し。すでに衣食を得て寸暇あれば、上士の教育を羨まざるを得ず。ここにおいてか、剣術の道場を開て少年を教る者あり(旧来、徒士以下の者は、居合い、柔術、足軽は、弓、鉄砲、棒の芸を勉るのみにて、槍術、剣術を学ぶ者、甚だ稀なりき)。