Japanese reading practice

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はるのまひる

春の真昼

小川 未明

Read 春の真昼 (はるのまひる) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,626 characters · 6 screens

Aozora Bunko

のどかな、あたたかい日のことでありました。静かな道で、みみずが唄をうたっていました。

田舎のことでありますから、めったに人のくる足音もしなかったから、みみずは、安心して、自分のすきな唄をうたっていました。

「おれほど、こう長く、息のつづくうまい歌い手は、世間にそうはないだろう。」と、心のうちで自慢していました。

あたたかな春風は、そよそよと空を吹いて、野原や、田の上を渡っていました。ほんとうに、いい天気でありました。あたりのものは、みんな、みみずの鳴き声にききとれているように、だまって、ほかに音がなかったのです。

このとき、ふいに、田の中から、コロ、コロ、といって、かえるが鳴き出しました。

「はてな、なんの音だろう?」と、みみずは、ちょっと声を止めて、その音に耳をすましましたが、すぐに、あの不器量なかえるの鳴く声だとわかりましたから、

「かえるのやつめが、負けぬ気でうたい出したわい。」と、みみずは、それを気にもかけぬというふうで、ふたたび唄をうたいつづけたのであります。

かえるも、なかなかよくうたいました。水の中から頭を出して、うららかにてらす太陽を見上げて、思いきり、ほがらかな調子でのどを鳴らしたのでした。