Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 201,612 characters · 405 screens
かれは日の暮れるのを待って、一挺の辻駕籠を吊らせて、駕籠屋の手前は病人のように取りつくろって、お直をそっと運び出して行った。
これで万事解決したと思っていたが、お豊は壁にかけてある清書草紙を忘れていた。お力は帰るときに自分の草紙だけを持って行ったが、お直の分はそのままに残っていた。あまりに慌てていたのと、ふだんから草紙などというものに注意していないのとで、お豊は今朝になってもその草紙には気がつかなかった。そうして、動かない証拠を半七に押えられたのであった。
甲州屋の藤太郎は半七にむかって、お紋とのわけを正直に白状してしまった。二人が女髪結の家で出逢っていることも打ち明けた。しかし、そこの二階でこんな椿事が出来していることを、彼は夢にも知らなかった。半七もさすがに思い付かなかった。たとい事情がどうであろうとも、人間ひとりが殺されては一大事である。なるべくはその死骸を片付けないうちに、石屋の千吉を取り押えてしまいたいと思ったので、彼はお豊を案内者として、すぐに谷中へ急いで行った。
「お話は先ずこれぎりです」と、半七老人は云った。「お直は生きていましたよ」