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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
「それから美濃屋の方を調べたか」と、半七は訊いた。
「調べました。ところが、亭主の次郎吉という奴は、女房に逃げられるような道楽者だけに、玩具屋の店は三年ほど前に潰してしまって、今じゃあ田町を立ち退いて、聖天下の裏店にもぐり込んで、風車や蝶々売りをやっているそうです。年は二十九で、見かけは色の小白い、痩形の、小粋な野郎だということですが、わっしがたずねて行った時にゃあ、商売に出ていて留守でした」
「その後に女房は持たねえのか」
「ひとり者です」と、弥助は答えた。「だが、近所の者の噂を聞くと、ふた月に一度ぐらい、年増の女がこっそりたずねて来る。それが先の女房のお福じゃあねえかと云うのです。なにしろ、その女が来ると、そのあと当分は次郎吉の野郎、酒なんぞ飲んでぶらぶらしていると云いますから、その女が小遣い銭でも運んで来るに相違ありませんよ」
「いい株だな。おめえ達も羨ましいだろう」と、半七は笑った。「その女は恐らく先の女房だろうな。親たちが不承知で無理に引き分けられた。女にゃあまだ未練があるので、奉公さきから抜け出して時々逢いに来る。しかしふた月に一度ぐらいはなかなか辛抱強い。