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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
いっそお早と一緒に沈めてしまえと、むごい料簡にならないとも限りますまい」
「いろいろ理窟をつけて考えたな」と、半七はほほえんだ。「それもまんざら無理じゃあねえ。女は案外におそろしい料簡を起こすものだ。そこで先ず奥さまの細工とすると、奥さまが直々に船頭に頼みゃあしめえ。誰か橋渡しをする奴がある筈だが……」
「それは女中のお信でしょう」
「むむ、船宿の姪か。そうするとお信は生きているな」
「船宿にいて、小田原町の河岸に育った女ですから、ちっとは水ごころがあるのでしょう。陸へ這いあがって、どっかに隠れているのだろうと思います」
「そんなことが無いとも云えねえ」
大阪屋花鳥の二代目かと、半七は口のうちでつぶやいた。しかも花鳥の一件とは違って、これはなかなか面倒の仕事である。たとい万事が幸次郎の鑑定通りとしても、それは当て推量に過ぎないのであるから、動かぬ証拠を押さえなければならない。
「こうなると、どうしてもお信と千太のゆくえを探し出さなけりゃあならねえ。おめえ一人じゃあ手が廻るめえから、亀か庄太に手伝って貰え。おれは妾の宿へ行ってみようと思うが、お早はどこの生まれだ」