Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
「でも、確かな証拠もないことは……」と、お富はまだ躊躇しているらしかった。
「いや、おめえの云ったことをすぐに証拠にするわけじゃあねえ。ただ心得のために聞いて置くだけのことだ。おめえの娘は此の頃ここへ訪ねて来たかえ」
「去年の暮れにまいりました」
「ひとりで来たのか」
「お信という女中を連れて来ました」
「お信はどんな女だ」
「容貌の悪くない、なかなかしっかり者のようです」
それは船頭の金八の話と符合していたが、お富がお信という女に好意を持っていないらしいのは、その口ぶりで察せられた。
「自分の供に連れて来るようじゃあ、おめえの娘の気に入りなんだね」
「別に気に入りというわけでもございません。お屋敷内では話すことの出来ない内証話があるので、きょうの供に連れて来たのだと申しまして、奥で暫く差し向かいで話して居りました」
「どんな話をしていたか判らなかったかね」
「わたくし共はあちらへ遠慮して居りましたので、二人とも小さな声でひそひそと話し合って居りましたので、どんな話をしていたのか一向に判りませんでした」
「帰る時はどんな様子だった」
「二人とも顔色がよくないようで……。