Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens

Aozora Bunko

その人は突然に彼等をおびやかして、斬るぞと呶鳴った。死にに行く身にも恐ろしい犬の声――突然斬ると云われて、彼等はやはり恐ろしくなった。その一刹那、死ぬ覚悟などは忘れてしまって、二人は思わず人殺しの悲鳴をあげて逃げた。

その話を聴き終って、半七はうなずいた。

「むむ、判った、判った。だがまあ、死んじゃあいけねえ。おれもここへ来合わせたのが係り合いだ、なんとか話を付けてやるから、今夜はおとなしく帰れ。といって、無分別者をこのまま追っ放すわけにゃあ行かねえ。庄太、御苦労でも此の二人を甲州屋まで送ってくれ」

「だが、こっちは好うござんすかえ」と、庄太は不安らしく云った。

「まあ、こっちは何とかする。なにしろ此の二人を無事に帰さなけりゃあならねえ」

「ようがす。じゃあ、行って来ます。さあ、親分がああ仰しゃるのだから、二人共ぐずぐず云わねえで早く来ねえ。世話を焼かせると縛っちまうぞ」

嚇されて、二人も争う術がなかった。かれらは権田原心中の浮き名を流す機会を失って、おめおめと庄太に追い立てられて行った。

これで先ず一方の埓は明いたので、半七は更に為吉と藤助の詮議に取りかかろうとして、持っている提灯をこちらへ振り向ける途端に、今度は為吉が悲鳴をあげて倒れた。