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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
いや、飛んだ災難で気の毒でした。
この騒ぎを聞きつけて、もう一人の別手組が駈けて来たが、これもどうすることも出来ない。早く馬に乗って逃げろと注意したんですが、大勢の敵に隔てられて、馬をつないである空地の方角へ行くことが出来ない。結局、馬は置き捨てにして、命からがら池の端の辺まで逃げました。異人たちはここへ来る途中で何か買物なぞをして来たんですが、それもみんな抛り出してしまい、帽子もステッキもなくなって、散らし髪の血だらけという姿、実に眼も当てられません。
追って来る連中ももう倦きたと見えて、途中からだんだんに減ってしまって、池の端まで来る頃には誰も付いて来ない。これで先ずほっとしたんですが、さて困ったのは馬の一件で、そのままに捨てて帰るわけには行かない。といって、迂濶に引っ返すと又どんな目に逢うかも知れないので、異人たちは怖がって帰らない。女の異人などは顔の色をかえてふるえている。別手組二人で五匹の馬の始末はちっと困ると思ったが、ともかくも牽いて来ることにして、二人の侍は元の空地へ戻ってみると、五匹のうちで二匹はゆくえ知れずになっている。この騒ぎにまぎれて、誰かが盗んで行ったに相違ない。