Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
ところが、その唐人飴は長英一件の後も相変らず商売に廻って来た。飴売りは年ごろ二十二三の、色の小白い、人柄の悪くない男で、誰に対しても愛嬌を振り撒いているので、内心はなんだか薄気味悪いと思いながらも、特に彼を忌み嫌う者もなかった。彼も平気で長英の噂などをしていた。そのうちに、その年の冬から翌年の春にかけて、ここらで盗難がしばしば続いた。
「あの唐人飴は泥坊かも知れない」
人の噂は不思議なもので、最初は捕吏かと疑われていた彼が、今度は反対に盗賊かと疑われるようになった。昼間は飴を売りあるいて家々の様子をうかがい、夜は盗賊に変じて仕事をするのであろうという。実際そんなことが無いとも云えないので、その噂を信ずる者も相当にあったが、さりとて確かな証拠も無いのでどうすることも出来なかった。
「あの飴屋が来ても買うのじゃあないよ」
土地の人たちは子供らを戒めて、飴を買わせないようにした。商売がなければ、自然に来なくなるであろうと思ったのである。こうして土地の人たちから遠ざけられているにも拘らず、彼はやはり商売に廻って来た。子供が買っても買わなくても、かれは鉦をたたいて、おかしな唄を歌って、唐人のカンカン踊りを見せていた。