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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
するという相談を決めたんです。そこへ現われて来たのが品川のむさし屋の勇二という奴で……」
「勇二は塚田の屋敷に何か関係があったんですか」
「勇二は去年の春まで塚田の屋敷に中間奉公をしていたんです。その時から奥様と文次郎の関係を薄々覚っていたのかも知れませんが、当人の白状では、正月の初めに下谷の往来で文次郎に出逢って、そこらの小料理屋へ連れ込まれて、初めて相談を掛けられたのだということです。いずれにしても、胸に一物ある勇二はすぐにその相談に乗って、ひとまず奥様を鮫洲の金造の家に隠まうことにして、約束の二十五日の午過ぎに湯島の天神の近所に忍んでいて、お千恵さんを駕籠に乗せて鮫洲に送り込みました。一緒に出ては忽ちに覚られるというので、文次郎は素知らぬ顔で騒いでいて、翌日の二十六日の夕方から奥様のゆくえを探すという体にして、かの百両を懐中にして、これも屋敷を飛び出してしまいました。行くさきは品川ですが、文次郎は勇二の家を知らないので、宿の入口の駕籠屋で訊いて、桂庵のむさし屋へたずねて行くと、勇二は待っていて表へ連れ出しました。
文次郎はまだ夜食を食わないというので、勇二はそこらの料理屋へ案内して、二人は飲んで食って、文次郎をいい加減に酔わせて置いて、さあこれから鮫洲の金造の家へ行こうと云って出たんですが、もう其の頃