Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
おれは鍋久の小僧を調べて、こんな事を聞き出した。鍋久の女中のお直という女は、きのう出しぬけに暇を出されたそうだ。もっとも今月は八月で、半季の出代り月じゃああるが、晦日にもならねえうちに暇を出されるのはちっと可怪しい。これにゃあ何か訳がありそうだ。お直の宿は下谷の稲荷町だというから、ともかくも尋ねて行ってみろよ」
「してみると、お直という奴も何か係り合いがありそうですね。今夜すぐに行きましょうか」
「相手は女だ。まあ、あしたでも好かろう」
弁天山の五ツ(午後八時)の鐘を聞いて、二人は再びここを出た。小左衛門の露路の近所を遠巻きにして、そこらをうろ付いている筈であるが、半七は念のために露路の奥へ覗きにゆくと、井戸を前にした小左衛門の家の奥から女の泣き声が洩れてきこえた。
女はお直かお節かと、半七は胸をおどらせながら耳を澄ましていると、低いながらも鋭いような男の声が更にきこえた。
「お前のいうのはみんな云いがかりだ。あまりにばかばかしくって、相手になっていられない。もういい加減にして、帰れ、帰れ」
「いいえ、若いおかみさんは生きているに相違ありません。きっと、どっかに隠れているんです」