Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
自分も好んでこんな事に係り合いたくは無いのであるから、お前の主人がいつまでも渋っているようならば、自分はもう手を引くのほかは無いと、彼は云った。
それが一種の嚇しのように聞かれないでも無かったが、今この場合、万次郎にすがって何とか無事を図ってもらうのが近道であると考えたので、与兵衛は自分が責任を帯びて、その金を調達すると請け合った。但し旧家といい、老舗といっても、丸多の店の有金を全部をかき集めても二、三千両に過ぎない。そのほかの財産はみな地所や家作であるから、右から左に金には換えられない。それを抵当にして他から金を借り出すか、あるいは親類に相談して一時の立て換えを頼むか、二つに一つの都合を付けるまで猶予してくれと、彼は万次郎に嘆願した。
「それなら先ず有金を吐き出して置いて、地所や家作の抵当はあとの事にすればいいじゃあねえか。こっちは急ぎだ。ぐずぐずしていると、六日の菖蒲になるぜ」と、万次郎は催促するように云った。
「しかし、有金を残らず差し出してしまいましては、店の商売が出来ません」と、与兵衛はいろいろに云い訳をした。
かれこれ押し問答の末に、ともかくもあしたの晩までに二千両の金を渡すことに約束して、二人は別れた。