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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
「むむ。いくら道楽が強くっても、大家の主人が自分で手を出しゃあしめえ。絵馬屋の奴らが頼まれたのか、それともほかに手伝いがあるのか、それもよく詮議しなけりゃあならねえ。神社の絵馬をどうしたの、こうしたのというのは、寺社の支配内のことで、おれたちの係り合いじゃあねえ。殊に堀ノ内の先だと云うのだから、江戸の町方の出る幕じゃあねえ。おれ達は頼まれただけの仕事をして、丸多の主人の居所さえ突き当てりゃあいいようなものだが、唯それだけじゃあ納まるめえ。仏作って魂入れずになるのも残念だから、引き受けた以上はひと通りの事をしてやりてえと思うのだが……。なにしろその現場を見なけりゃあどうにもならねえ。この分じゃあ明日は天気だろう。ともかくも一緒に和田へ踏み出してみようじゃあねえか。朝の五ツ半(午前九時)までに大木戸へ行って待ち合わせていてくれ」
「承知しました」
亀吉は表へ出て、空を仰ぎながら云った。
「親分。あしたは確かに上天気……。星が降るように出ましたよ」
三
亀吉の予報は狂わないで、明くる二十八日の朝の空はぬぐうように晴れていた。三月末の俄か天気で、やがて衣更えという綿入れが重いようにも感じられたが、昔の人は行儀がいい、きょうから袷を着るわけにも行くまいというので、半七は暖か過ぎるのを我慢して出ると、神田から山の手